過去記事のリライト優先順位をChatGPTで決める手順
古い記事が大量にあるのに、どれから手をつけるかわからない。ChatGPTを使って劣化パターンを分類し、リライトの優先順位を決める手順を解説します。
オウンドメディアを1年以上運営していると、過去記事の扱いが問題になります。公開から半年以上経った記事が数十本、場合によっては百本以上ある。情報が古くなっているものもあれば、検索順位が下がっているものもある。「リライトしなければ」とは思っているのに、どの記事から手をつけるかが決まらず、結局新規記事ばかり書いている。
なぜリライトが進まないのか。「時間がない」は表面的な理由です。
リライトが止まる原因は「判断基準がない」こと
最初の原因は、劣化の種類が整理されていないことです。記事が古くなるといっても、劣化のパターンは複数あります。統計データの年次が古い、紹介しているツールがサービス終了している、法改正で内容が不正確になっている、検索意図が変わって構成自体が合わなくなっている。これらは全部「古い記事」ですが、直し方も工数もまったく違います。劣化の種類を区別せずに「古い順に直す」とやると、軽微な修正で済む記事と全面書き直しが必要な記事が混在し、見積もりが立たず手が止まります。
さらにその下には、効果の見通しが立たないという問題があります。新規記事なら「このキーワードでこれくらいの流入が見込める」という仮説がありますが、リライトの場合は「直したらどれくらい改善するのか」がわかりにくい。ROIが見えないから、新規記事の方が確実に見える。結果、リライトは常に後回しになります。
つまり構造はこうです。劣化の種類が混在している → 工数が読めない → 効果も読めない → 優先順位が決まらない → 新規記事を書く方が楽 → 過去記事が放置される。
この構造を崩すには、まず劣化を分類し、次に優先度をスコア化する必要があります。ChatGPTを使えば、このプロセスの大半を自動化できます。
手順1: 記事一覧を棚卸しする
まず、自分のメディアの全記事をリスト化します。CMSの管理画面からエクスポートするか、手動でスプレッドシートにまとめます。必要な項目は以下です。
- 記事タイトル
- 公開日
- URL
- 主要キーワード(狙っていた検索語)
- 現在の月間PV(わかれば)
これをChatGPTに渡せる形(テキストまたはCSV)にしてください。100本以上ある場合は、公開から6ヶ月以上経った記事に絞って構いません。
手順2: 劣化パターンを分類する
記事本文をChatGPTに渡し、劣化の種類を判定させます。
以下の記事の本文を読み、次の4つの劣化パターンのどれに該当するか判定してください。
複数に該当する場合はすべて挙げてください。
A. データ劣化: 統計データ・調査結果の年次が古い(2年以上前)
B. ツール劣化: 紹介しているツール・サービスが終了、大幅変更、または競合に追い抜かれている
C. 制度劣化: 法改正・制度変更により記述が不正確になっている
D. 構造劣化: 検索意図が変わり、記事の構成自体が読者のニーズに合わなくなっている
各パターンについて、該当する箇所を具体的に引用してください。
どのパターンにも該当しない場合は「劣化なし」と判定してください。
【記事タイトル】○○○
【公開日】2024-XX-XX
【本文】
(記事を貼り付け)
一度に10本程度ずつ処理するのが現実的です。判定結果をスプレッドシートに記録していきます。
ポイントは「D. 構造劣化」の判定です。A〜Cは事実の照合なのでChatGPTでも精度が出ますが、Dは検索結果の現状を見ないと判定できません。Dの疑いがある記事は、実際にそのキーワードで検索して上位10件の構成を確認してください。
手順3: 優先度をスコアリングする
劣化パターンが出揃ったら、リライトの優先度をスコア化します。
以下のリライト候補記事について、優先度スコアを算出してください。
スコアは次の4軸で、各1〜5点で採点し、合計点を出してください。
1. 劣化の深刻度(5=不正確な情報が読者を誤導する、1=古いが実害なし)
2. 修正の工数(5=部分修正で済む、1=全面書き直しが必要)
※工数が少ないほど高スコア。手軽に直せるものを優先する
3. 現在のPV(5=月間PV上位20%、1=ほぼ読まれていない)
4. キーワードの価値(5=事業に直結するキーワード、1=関連性が薄い)
合計点が高い順にリライトすべきです。
【候補リスト】
記事A: 劣化パターンA(データ劣化)、月間PV 500、キーワード「○○」
記事B: 劣化パターンD(構造劣化)、月間PV 200、キーワード「○○」
...
「修正の工数」を逆転スコアにしているのがポイントです。工数が軽いものから着手する方が、リライト施策全体の成果が早く出ます。最初に全面書き直しが必要な記事に取りかかると、1本に数日かかって他の記事が放置されます。30分で直せるデータ更新を先に片付ける方が、メディア全体の品質が底上げされます。
手順4: リライト方針を記事ごとに決める
スコアの上位から順に、具体的なリライト方針を策定します。
以下の記事について、リライト方針を策定してください。
- 劣化パターンと該当箇所はすでに特定済みです
- 方針は「何を」「どう」直すかを具体的に書いてください
- 修正後の見出し構成案も含めてください
- 想定作業時間を見積もってください
【記事タイトル】○○○
【劣化パターン】A(データ劣化)
【該当箇所】「2022年の調査によると市場規模は○○億円」(第3段落)
【現在の構成】
H2: ○○とは
H2: ○○のメリット
H2: まとめ
方針書があると、リライト作業自体を外注ライターに依頼しやすくなります。「この記事のここをこう直してください」と具体的に伝えられるため、品質のブレが減ります。
手順5: 実行計画を月次で組む
最後に、スコアと方針をもとに月次の実行計画を作ります。
以下のリライト候補を、月次の実行計画に落としてください。
条件:
- 月あたりのリライト工数は合計10時間まで
- 新規記事の制作を止めない前提で組む
- 優先度スコアの高い順に割り当てる
- 各月の成果が目に見える構成にする(「今月は○本リライト完了」と言える形)
【候補リスト】
(スコア順の記事リストと想定作業時間)
「月10時間まで」のような制約を入れることで、新規記事の制作と両立できる現実的な計画になります。制約なしで計画を立てると、リライトに工数を取られて新規が止まるか、計画倒れになるかのどちらかです。
ChatGPTだけでは判断できないこと
この手順で、リライトの優先順位と方針は整理できます。ただし、3つの判断は人にしかできません。
事業としてそのキーワードを取り続けるかどうか。市場が変わり、もうそのキーワードで集客する意味がなくなっている場合があります。その記事は「リライト」ではなく「非公開」が正解です。この判断はChatGPTにはできません。
競合状況の評価。検索上位を競合の大規模メディアが独占している場合、リライトしても順位が上がらないことがあります。その見極めには、検索結果を実際に見て、自社の記事が勝てるポジションがあるかを判断する必要があります。
読者の反応の解釈。PVは下がっていなくても、読者の期待が変わっていることがあります。問い合わせの内容が変わった、SNSでの反応が変わった。これらの定性的な変化はデータに現れにくく、現場の感覚でしか拾えません。
過去の取材・対話をリライトの素材にする場合
リライトで最も工数がかかるのは、新しい情報の取得です。特に事例記事やインタビュー記事のリライトでは、追加取材が必要になることがあります。
sonataを使えば、過去の取材音声から関連する発言を検索し、リライトの素材として再利用できます。一度録った音声が繰り返し使える状態になるため、追加取材なしでリライトできる範囲が広がります。過去記事の鮮度維持を仕組み化したい場合は検討してみてください。
