測る前に決めたこと — 「何を工数と呼ぶか」
同社はプロジェクト開始前に、削減効果の測り方を定義した。曖昧なまま進めると、後から成果を説明できなくなると考えたためだ。
— どのように定義したのですか。
対象を、資料作成・データ集計・社内確認の3業務に限定しました。そのうえで、導入前の3ヶ月間、実際にかかった時間を記録してもらいました。記録すること自体が負担なので、期間を区切ったうえで、15分単位の粗い粒度にしています。
— 記録の精度は問題になりませんでしたか。
粗いのは承知のうえです。ただ、比較する前後で同じ方法を使っていれば、変化の方向と大きさは掴めます。厳密な数字より、意思決定に足りる精度かどうかで判断しました。
「厳密な数字より、意思決定に足りる精度かどうかで判断しました。」
内訳 — 40%のうち、28%は1つの業務から
削減された工数のうち、大半は資料作成の工程から生まれた。同社はここに絞って運用を組み替えたという。
— 資料作成のどこが減ったのでしょうか。
一から書き起こす部分です。これまでは案件ごとに白紙から作っていました。いまは過去の資料と当日の議事から下書きを起こして、そこに固有の論点を足していく形にしています。ゼロから1にする時間がなくなりました。
— 品質への影響はありませんでしたか。
そこは慎重に見ました。下書きをそのまま出すことは禁止しています。必ず担当者が読み直して、クライアント固有の事情を書き足す。むしろ、書き起こしに使っていた時間を中身の検討に回せるようになりました。
削らなかったところ
同社は、あえて効率化の対象から外した業務があると話す。
— 対象外にしたのはどの業務ですか。
クライアントとの対話そのものと、最終レビューです。ここを短くすると、成果物の質が落ちることが分かっていたので。効率化の目的は、この2つに時間を寄せることでした。
「効率化の目的は、この2つに時間を寄せることでした。」
6ヶ月後 — 数字が、次の議論を呼んだ
— 社内での受け止めはいかがでしたか。
数字が出たことで、別の部署から「うちでも測ってほしい」という話が来ました。効果があったかどうかより、測り方が共有されたことのほうが、結果的には価値があったかもしれません。